アニサキス症と胃カメラ(胃内視鏡検査)
阿保義久 院長
みぞおちの激しい痛みが突然発生して、色々な胃腸薬を飲んでも全く症状が改善しない という方が時々受診されます。そのような方に胃カメラ(胃内視鏡検査)を実施すると、アニサキスの幼虫が胃に生息していることがあります。アニサキス幼虫は胃や腸の壁に刺入 するため激烈な痛みを発生させるのです。特効薬はありません。しかし、胃カメラで幼虫を取り除けば、症状は完全に消失します。
内視鏡検査で確認されたアニサキス幼虫(白い糸のように見える)
胃カメラ(内視鏡検査)を行いカンシで除去
アニサキスは寄生虫の一つで、その幼虫は長さ1~3㎝、幅0.5~1㎜くらいで、白色のやや太めの糸のように見えます。サバ、アジ、サケ、イカなどを生で食すと感染するリスクがあります。
症状はアニサキス幼虫が寄生する部位で異なります。胃アニサキス症は、食後数時間で激しい腹痛と嘔吐を伴います。腸アニサキス症は食後10時間から数日後に激しい下腹部痛や腹膜炎のような症状が発症します。重症化し腸閉塞をきたすと手術が必要になこともあります。
治療法は前述のごとく内視鏡で取り除くことです。内視鏡(胃カメラ)で摘除すると症状は速やかに消失します。時にアニサキス幼虫がひだの間に寄生してしまい除去が難しい場合があります。その場合は、ガストログラフィン(造影剤のひとつ)やメントールを散布すると、ひだの間に陥入していた幼虫が腸の内腔へ浮き上がってくるので摘出がしやすくなると報告されています。
予防はアニサキスが寄生している海産物を食さないことに尽きます。魚を購入する場合はできるだけ新鮮なものを選び内臓は食べないようにしましょう。食べる際にしっかりと目視し、もしアニサキス幼虫に気づいたら食す前にしっかりと除去してください。
生の海産物を食した後、激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われた場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
阿保義久 院長